中尾ちさ被告に、懲役30年が言い渡されたこの裁判。
ここに至る過程で、とても心が痛い場面があった。
法廷へ入ると、見慣れない光景が目に入った。法廷の、弁護側の半分が、アコーディオンカーテンのパーティションで隠されていた。
こんな事は1年以上前から裁判を傍聴してきて、初めてだった。。
裁判官を筆頭に、裁判員が入場し、裁判が始まると同時に、アコーディオンカーテンの幕も外された。
そこには杖をつき、体を丸くしたおばぁさんが、証言台に立っていた。裁判長の方を向いていて、こちらから表情はうかがい知れない。
後に分かったのだが、被告夫婦の夫の方。中尾真也被告の母だった。「真実のみを証言する」旨の宣誓を立って行うのだが、杖をつき、立つのが辛そうだった。
祖母に育てられた僕としては、胸を締め付けられる思いだ。
事件とは、直接の被害者だけではなく加害者本人やその家族すら、不幸にしてしまう。
当たり前の事だけど、より強くそのことを感じた一幕だった。